オネエ・タレント考①ゲイ ≠ オネエ、②オネエとAKB48、③マツコDXブームは母性の渇望?

オネエ・タレント考①ゲイ ≠ オネエ
マツコ・DXさん、ミッツ・マングローブさんら、オネエタレントの人気が高まっている昨今、オネエについて考えてみた。

自分はゲイだ。見た目は男性で、言葉遣いも「男言葉」だ。一人称も普段は「俺」という。対してオネエ・タレントの方々は「わたし」だよね。「わたしたち女は・・・」とも彼らはよく言っている。オネエの人は自分を女だと自覚し、女性を代表して話しているようだ。私個人も、マツコさんやミッツさんは、「女性として」見ている。恋愛対象ではないし、男ともゲイとも見ていない。

けれどゲイの世界でオネエなのは一部。ほとんどのゲイは女装もしなければ、オネエ言葉も使わない。女装をするのはゲイ全体の2〜3%未満だろうし、オネエ言葉を遣うゲイも全体の1,2割だろう。

それにかつては、否、今でも2丁目やゲイの世界では、ゲイとオネエは分けられている。ゲイの中でも仕草や言葉遣いが女性的なゲイ、つまりオネエ言葉を使うゲイが「オネエ」と言われてきた。そういう歴史的経緯を無視し、ゲイ=オネエとされる風潮に疑問を持っているゲイの方も多いだろう。

オネエに比べ、マジョリティーであるはずの男性的なゲイは可視化されていない。カミングアウトしなければゲイであることは分からない。どこかの知事が「テレビにオネエばかり出ていて不快」みたいなことを言ったけど、この知事は誤解していて、見た目や話し方ではゲイだと分からない同性愛者は、今も昔もテレビに大勢出ている。オネエタレントの他に、テレビ局のスタジオの制作スタッフの中にも、観覧者の中にも「隠れゲイ」は大勢いるのだ。勿論、都庁の中にもだ。

いまメディアで人気なのは、ゲイではなく、オネエ。お笑いブームの中で、オネエの人が使う「オネエ言葉」や「オネエキャラ」が受けている。このオネエブーム、いつまで続くか分からないが、次は男性的なゲイがゲイであることを包み隠さず、自然体で振る舞える時代になって欲しい

その第一歩となるよう、例えば、同性婚を認めるように請願書を出すなど、政治家に具体的に政策提案しなければならない時が来ている。



オネエ・タレント考②オネエとゲイとAKB48
以前も書いたが、オネエとゲイは違う。ゲイの中でも女性度が高いゲイ、特にオネエ言葉を使うゲイをオネエという。ゲイの多数派はオネエ言葉を使わない。
メディアではオネエが受けているのであり、男性的なゲイが受けているのではない。バラエティ番組に、男性らしいゲイが出ても面白くないだろうし、生理的に抵抗感を持たれるだけになってしまい、仕方ない面がある。
先日の日テレ系のバラエティ番組AKB48タイムズ「AKB48 VS おネエ」でも、出演していたゲイは、95%が女装系。女装しないゲイは、山咲トオル前田健真島茂樹、ピカ子の4人だけで、やはり内面が乙女のオネエだった。ピカ子さんは男らしいし、それほどオネエではないかな?まあ、オードリーの春日やタカトシのタカ、レイザーラモンHGのような、男性的なゲイがAKBをからかっても面白くないだろうしね。
面白い、面白くないではなく、普通に、一般社会でゲイが認められて欲しいもんだ。その為には、男性的なゲイが自分で情報発信して行かなければならないのだが、見た目や喋り方ではゲイだと分からないから、中々難しいところだ。


オネエ・タレント考③マツコDXブームは母性の渇望?
マツコ・デラックスさんが相変わらずの人気だ。僕も彼女(マツコさんをゲイとは思ってないので、敢えて彼女という)には、その発言に少々偏見を感じることはあるが、キャラクターは嫌いではない。
ゲイの理論家・伏見憲明さんらが面白いことを既に言っている。マツコさんが時代から求められる理由は、日本社会から母性が失われたからだというのだ。今は亡き京塚昌子さんや山岡久乃さんら肝っ玉母さんに代わって、叱ってくれ、慰めてくれ、愚痴の聞き役になってくれ……という役割を期待されているのがマツコさんや美輪明宏さんなのだと。
昨夜の日テレ系の「しゃべくり007」の特番でも、マツコさん、ネプチューン名倉潤さん、フットボールアワーの岩尾さんが、名倉家の「家族パロディー」を演じていた。名倉さんが父親役、マツコさんが母親の渡辺満里奈さん役、岩尾さんが息子役になり、父親役の名倉さんが息子(岩尾)と妻(マツコ)にお出かけのキスを交わして、家を出ていくというシーンだった。
意外なことにスタジオ内から、「これ、いい」とか「幸せな気持ちになる」という肯定的な声が多く聞かれた。マツコと岩尾というビジュアル面では、とても綺麗とはいえない男2人のキスシーンに対してである。
母性が求められているのか、その真相は別にして、まだまだオネエタレント・ブームは続きそうだ。